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さて、東の河にはちょっと見たところでは誰もおりませんでしたが、騎士エオスは馬から降り、ていねいにお辞儀をしてこうたずねました。 「東の河の竜、西の街道の虎よりも、南の窪地の鳥よりももっと賢いお方、とび色の瞳と亜麻色の髪の姫君が、呪いを解く方法をたずねにまいりませんでしたか。あの方は王国の宝、わたしの愛する人なのです」 すると河の底からざあと水を押しのけて、うつくしい青いうろこの竜があらわれて答えました。 「王国の騎士エオス、獅子の心を持つエオス、あの賢いユピテル姫はわたしよりもずっとずっと賢いものだから、あの人が知らないことはわたしも知らないのだよ」 そう言うと、竜はまた河の底にもどってしまいそうになりましたが、その長いからだを半分ほど水に沈めたところで思い出したように言いました。 「そういえば、賢い姫君の愛する人。ユピテル姫は西の街道の虎よりも、南の窪地の鳥よりも、そしてわたしよりももっと賢い、北の丘陵の魔女の元へ向かったようだ」 騎士エオスはもうひたいの辺りしか見えない竜にていねいにお礼を言って、従者のヨハネスと一緒に馬に乗って北へと向かいました。 その途中、そこはまだ東の河の竜がおさめる土地でしたが、一羽のハトとオリーブの木が二人で仲良くおしゃべりをしていました。騎士エオスは馬を止め、二人にこうたずねました。 「ハトとオリーブ、平和の象徴たち、ユピテル姫はたしかに北の丘陵の魔女に会いに行ったのだろうか」 するとハトが言いました。 「はい、賢い姫君の愛する方。東の河の竜は偉大なお方、あなたに嘘など言いません」 続けてオリーブが言います。 「そうです、賢い姫君の愛する方。わたしはユピテル姫がこの道をとおって北の丘陵へと向かうのをたしかに見たのです」 忠義なヨハネスがこれを伝えますと騎士エオスはたいそう感謝して、ハトとオリーブにこう申し出ました。 「西の森のフクロウたちと南の荒れ野のトネリコたちは、彼らをおさめる虎と鳥が残酷なあつかいをするので苦しんでいる。お前たちは不満はないのだろうか、ハトとオリーブ」 二人は不思議そうに顔を見合わせて、いっぺんに首を横にふりました。 「いいえ、勇敢な騎士エオス、東の河の竜はよくこの土地をおさめています。わたしたちはとても幸せです」 騎士エオスは東の河の竜がおさめる土地に永遠の幸いがあるように祈りをささげ、従者のヨハネスをつれて馬にまたがり、三日三晩を北へと駆けました。 |
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